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【ROOTS】私は10年分のご指導の塊なんです

【ROOTS】私は10年分のご指導の塊なんです

【ROOTS】は、当社で働いている社員の方を紹介するコーナーです。

ケアリッツには毎月大勢の方が入社されています。どのような方がどのように活躍しているのか、インタビュー形式で紹介します。これから介護職へ転職を考えている方や、経験は無いものの介護に興味がある方々は、是非参考にしてください!

今回紹介するのは 上新庄事業所 榎並 恵実(エナミ エミ)さん

2024年3月に正社員入社。前職でも長期にわたって訪問介護を経験されてきた榎並さん。介護の専門職として必要なマインドや、今後ご自身が目指していること等について、色々とお話を伺ってきました。

ターニングポイント

-なぜ介護に興味を持つようになったのですか?-

祖母に介護が必要になったときに、私はちょうど妊娠していて、結局祖母が亡くなるまでお世話らしいことを何一つしてあげられなかったんです。そのことが直接の決め手になったというわけではありませんが、ずっと心残りではありましたし、あとは育児との両立がしやすいということが魅力に映って、介護の世界に飛び込んでみることにしました。それで、先ずはヘルパー2級(現在の初任者研修相当)の資格を取って、祖母と同じように在宅で頑張っていらっしゃる方を支えていければなと思い、就職先には訪問介護を選んで、専門職としてのキャリアをスタートさせました。

 

専門職としてのこれまで

-実際に介護の世界に飛び込んでみてどうでしたか?-

「研修で教わっていた時よりも現場の方がきつい!」っていうのが一般的だと思うんですけど、私の場合は全くの逆でしたね。というのも、ヘルパー2級の資格取得中に、周りから結構おどかされていたんです。例えば、「実習先の指導員さんは怖いよー」とか、「同行でついてくれる先輩は当たりが強いよー」とか。なので、働く前の時点でとんでもないイメージが膨れあがっていたんですけど、実際は全然そんなことなくて、初めて先輩にくっついてご利用者のお宅に伺ったときは、「全然なんてことないじゃん!」って拍子抜けしちゃうくらい、優しく丁寧に教えていただきました。ただ、ご利用者が生活している環境の方については想像以上でしたね。見たことない世界というか、世の中にはこんなに不自由な環境で生活している人がいるんだって、衝撃を受けることも多かったです。まあ、その度に、「人間って強いなあ」って感心したりもするんですけど。

長く続けていると、印象的なご利用者と出会うこともあります。以前、どれだけきちんとサービス提供をしても、「私は何にもしてもらっていない」って言い張る方がいたんです。最初は何人かで対応していたんですけど、段々と行ける人が減っていって、最終的に私だけが残りました。あの手この手と色々工夫はしてみたんですけど、状況は一切変わらず、結局会社として撤退することになりました。今なら、「ひょっとしたら寂しさからくる甘えなんかもあったんかな」って思えるんですけど、当時は身を引く以外に手立てが浮かばず、今でも思い出すと歯痒い気持ちになりますね。それでも私がこうやって訪問介護を続けることができているのは、働き始めて1年が経ったくらいの頃に出会ったご利用者のおかげなんです。入社時に比べて色々と思い悩むことが増えてきたタイミングで関わった、ターミナル(終末期)のご利用者だったんですけど、ほとんど会話もできないような状態の方でした。ある時訪問したら、その日に限ってやたらと意識がはっきりとしていたことがあって、不意に、「あなたはこの仕事ずっと続けていかなくちゃだめよ」って仰ったんです。亡くなったのがそれから一週間後だったので、妙に強烈なメッセージとして残っているというか、「これはやめられないな!」って明確に感じた瞬間でした。その日から訪問介護が私にとっての天職になった気がします。登録ヘルパーから始めて、パート職員、サ責(サービス提供責任者)とちょっとずつ立ち位置を変えながら様々な方と接していくことで、どんどん訪問介護の世界にハマっていって、気が付けばあっという間に14年。何か不満があったとかは一切ないんですが、箱入りでずっと働き続けてきたのと、もっと身体介護が多い環境で訪問介護を経験しておきたいという思いから、一念発起して転職することにしました。

 

ケアリッツへの転職

-ケアリッツに転職してみていかがですか-

前職が措置(介護保険が始まる前)の時代からある老舗の会社だったので、「どうせなら新しい試みをしている会社に転職したい」という思いがありました。ケアリッツについては、同じご利用者に入っていたことが何度かあって、記録票を電子化していることや電動自転車を1人1台ずつ貸し出していることを知っていたので、どんな方法で運営しているんだろうっていう興味は常にありました。実際に入ってみて感じるのは、「若い!」ってことですね。前職はヘルパーの半数以上が70歳を過ぎていて、新しい人が全然入ってこない状況だったので、「このままだと訪問介護は崩壊する」って、ずっと思っていました。もちろんベテランさんばかりなので、家事やオムツの交換なんかは手際よく、素晴らしく綺麗になさるんですけど、体の負担を考えると移乗(乗り移りの介助)や入浴介助はお願いするわけにいかず、依頼を受けれる仕事がどうしても限定的になりがちでした。周辺の事業所もどこも同じような状態だったので、ケアリッツで働いてる人たちの若さには、今後ますます増える需要に対して、しっかりと受け皿になれる頼もしさを覚えます。それに登録やパート雇用がスタンダードな業界において、正社員雇用がメインっていうところも強みですね。行う介護サービスはどの会社を選んでも差がないはずなのに、これだけカラーを出せるなんて!そうか、これが介護の新しいビジネスモデルなんだなって感心してばかりいます。ただ、あえて苦言を呈するならば、人と向き合う技術というか、他人の家で瞬時にその方の心に寄り添う技術は、ベテランさん方にはまだまだかなわないですね。初見でも相手に嫌な思いをさせることなくスッと入りこむ作法というか所作というか、人生経験を積んできたからこそなせる業がやっぱりあって、身近なところにそういったベテランさんがいるからこそ学べることが、ケアリッツだとその機会に恵まれにくい印象を受けます。とはいえ、課題というよりも伸びしろの部分だと思っているので、私が間に立って、小姑みたいなことばっかり言ってると思われても、昔ながらの生活様式や価値観をこれからの人たちに伝え続けていきたいと思っています。

 

これから

-今後の目標を聞かせてください-

前職では10年くらいサ責としての業務に携わってきました。その間に時にはご利用者から、時にはご家族から、時にはケアマネ(介護支援専門員)から、数々のご指導を頂戴してきました。だから、今の私は10年分のご指導の塊なんです。ご指導いただいた瞬間は辛い時もありますけど、乗り越えればステップアップになるので、何事にも真摯に向き合ってこれまでやってきました。今の環境だと、私のキャリアはベテランの域ということになるのかもしれませんが、前職で目の当たりにしてきた本当のベテランさん方にはまだまだ遠く及びません。例えば、家事だってただこなすだけではなく、「普段なら見ているはずのテレビ番組を見ていない」といった微妙な違和感を見逃さず、そこから、「ひょっとして認知症が進んだのかもしれない」ということにまで思考を巡らせ、その情報をきちんと共有するといったことが、当たり前のようにできるんですよね。そんな、私にとってはレジェンドのような方々に一歩でも近づけるように、もっともっと沢山の経験を介護の現場で積んでいきたいと思っていますし、これからの方々にきちんと引き継いでいきたいです。まだ学生の子供がいますし、なにより訪問介護そのものが大好きなので、今のところサ責や管理者といった役職に就くことは考えていません。帰宅後の一杯で仕事モードから自宅モードに切り替えをしながら、体が動く限りは生涯現役のヘルパーでいたいと思っています。

ご自身が憧れてきた諸先輩方の背中を追いつつ、未来の担い手に対しては、その成長に繋がるような関わり方をしながら、専門職としての責任を全うしようと日々邁進されている榎並さん。介護の専門職として必要なマインドを実践で体現して示すその姿勢は、一緒に働く人たちにとってもご利用者にとっても、心強く映ることでしょう。貴重なお話、ありがとうございました!