小規模多機能型居宅介護にデメリットはある?利用する場合の注意点を解説

小規模多機能型居宅介護は、通所と訪問、宿泊を組み合わせた柔軟な介護サービスですが、利用する上で注意事項はないのでしょうか。
本記事では、小規模多機能型居宅介護のデメリットを中心に解説しています。
小規模多機能型居宅介護の特徴や利用するメリットも解説しているので、デメリットと比較した上で利用を検討してください。
小規模多機能型居宅介護の特徴
小規模多機能型居宅介護とは、どのような介護サービスなのでしょうか。
まずは、サービスの概要から解説します。
通所・訪問・宿泊のサービスを提供している
小規模多機能型居宅介護では、以下の3つの介護サービスを単体の事業所が組み合わせて提供しているのが特徴です。
- 施設に通う通所
- 在宅で利用する訪問
- 施設に泊まる宿泊
通所と訪問、宿泊で利用できる詳しい介護サービスの内容は、次のとおりです。
| 種類 | サービス |
| 通所 | ・健康チェック ・食事 ・入浴 ・機能訓練 ・レクリエーション |
| 訪問 | ・身体介護 ・生活援助 ・安否確認 |
| 宿泊 | ・夜間の見守り ・夜間の介護 ・緊急時の対応 |
利用者やその家族の生活を多角的に支えるのが、小規模多機能型居宅介護の目的です。
要支援1以上の方が利用できる
小規模多機能型居宅介護を利用できるのは、要支援1以上に該当する方のみです。
また、このサービスは「地域密着型サービス」の一つに分類されているのが大きな特徴です。
住み慣れた地域でのサポートを目的としているため、原則として事業所と同じ市区町村に住民票がある方にのみ提供されます。
出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」
料金は月額定額制
小規模多機能型居宅介護の利用料金は、月額定額制です。
この料金には、通所と訪問、宿泊のサービスの料金と、ケアプランの作成料が含まれています。
要介護度に応じた一般的な月額料金(1割負担)の目安は、次のとおりです。
| 要介護度 | 月額料金 (同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合) | 月額料金 (同一建物に居住する者に対して行う場合) |
| 要支援1 | 3,450円 | 3,109円 |
| 要支援2 | 6,972円 | 6,281円 |
| 要介護1 | 10,458円 | 9,423円 |
| 要介護2 | 15,370円 | 13,849円 |
| 要介護3 | 22,359円 | 20,144円 |
| 要介護4 | 24,677円 | 22,233円 |
| 要介護5 | 27,209円 | 24,516円 |
要支援の場合は介護予防サービスとして区分されるため、要介護とは利用料金に差があります。
なお、利用者負担の割合は所得や地域区分によって異なるため、一律1割負担ではない点に注意しましょう。
出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」
月額料金以外にかかる費用
月額料金のほかに、日常生活を送るために必要な費用が実費で徴収されます。
一般的に実費で支払う費用は、以下のとおりです。
- 食費
- 宿泊費
- おむつ代
- レクリエーションの材料費
- 洗濯費用
- 理美容代
実費は介護保険の対象外になるため、全額が自己負担となります。
金額の設定は事業者ごとに異なるため、契約前に詳細な料金表を確認しておくことが大切です。
小規模多機能型居宅介護のメリット
小規模多機能型居宅介護を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 利用回数に制限がない
- 環境の変化が少ない
- きめ細かいケアが受けられる
- 利用回数が多くても追加料金がない
これらのメリットについて、詳しく解説します。
利用回数に制限がない
小規模多機能型居宅介護では、通所・訪問・宿泊の3つのサービスを、回数制限を気にすることなく柔軟に利用できます。
事業所の定員に空きがあれば、家族の急な予定や本人の体調変化に合わせて、その都度最適な組み合わせで支援を受けられるのが大きな強みです。
どれだけ利用しても介護サービス費(自己負担額)は月額定額制のため、費用面を心配せずに必要なサポートを十分に受けられる点は、利用者と家族の双方にとってメリットといえるでしょう。
環境の変化が少ない
通所・訪問・宿泊を同一の事業所で完結できるため、サービスごとに別の施設へ通うといった環境変化による心身の負担がありません。
顔なじみのスタッフが担当するので、信頼関係を築きやすいのが特徴です。
特に、生活環境の変化によって混乱や不安が強まりやすい認知症の方にとって、決まった場所でいつものスタッフと過ごせることは、見守る家族側にとっても安心感があります。
きめ細かいケアが受けられる
小規模多機能型居宅介護では、利用者一人ひとりに合ったきめ細やかなサポートを受けられます。
家族の体調不良や急な用事などの突発的な相談にも、状況に応じて柔軟に対応してもらえるのが大きな安心感につながります。
また、登録定員が29名以下と少なく設定されているため、一人のスタッフが利用者に対して手厚いケアを提供できます。
顔なじみのスタッフに囲まれて手厚いケアを受けられるのは、少人数制ならではの強みといえるでしょう。
利用回数が多くても追加料金がない
一般的な介護サービスは利用回数に応じて料金が増えていきますが、小規模多機能型居宅介護の利用料金は、1カ月ごとの定額制です。
週に何度通っても、あるいは急な訪問をお願いしても、月々の基本料金が変わることはありません。
そのため「今月は回数が増えたから支払いが心配」という不安を抱えずに済み、家計管理もスムーズになります。
費用を気にせず、その時々の状況に合わせてサポートを頼めるのは、利用者や家族にとって安心でしょう。
小規模多機能型居宅介護のデメリット
小規模多機能型居宅介護には多くのメリットがある一方で、利用する前に知っておくべきデメリットもいくつか存在します。
利用者や家族にとって注意したい点は、主に以下のとおりです。
- 併用不可なサービスがある
- ケアマネジャーの変更が必要
- 利用回数が少なくても費用が変わらない
- 利用定員が決まっている
小規模多機能型居宅介護のデメリットの詳細について、解説します。
併用不可なサービスがある
小規模多機能型居宅介護の利用時には、併用できるサービスと併用できないサービスがあります。
併用可能 | 併用不可 |
● 訪問看護 ● 訪問リハビリテーション ● 居宅療養管理指導 ● 福祉用具貸与 ● 住宅改修 | ● 居宅介護支援 ● 訪問介護 ● 訪問入浴介護 ● デイケア ● デイサービス ● ショートステイ |
併用できないサービスがあるのは、小規模多機能型居宅介護の担当ケアマネジャーが、ケアプランを作成し、すべての介護サービスを一元的に管理する仕組みがあるためです。
訪問看護などの医療系サービスや、福祉用具貸与、住宅改修など、小規模多機能型居宅介護で提供されない一部のサービスに限り併用できます。
ケアマネジャーの変更が必要
小規模多機能型居宅介護以外の介護サービスをすでに利用している場合は、ケアマネジャーの変更が必要になります。
ケアマネジャーとの契約は、原則1人までと決められているからです。
そのため、ほかのサービスのケアマネジャーとの契約を解除してから、小規模多機能型居宅介護の事業所に属するケアマネジャーと契約する手間がかかります。
これまでの担当ケアマネジャーと信頼関係ができていた方にとって、変更はデメリットといえるでしょう。
利用回数が少なくても費用が変わらない
小規模多機能型居宅介護は月額定額制のため、サービスの利用回数が少ない月であっても、支払う料金が安くなることはありません。
例えば、月に数回しか利用できなかった場合でも、頻繁に利用した月と同じ基本料金が発生します。
この仕組みは、毎日でも利用したい方にとっては安心ですが、週に1回程度の限定的な利用を希望される方にとっては、割高に感じてしまう可能性があります。
自分の生活スタイルや希望する利用頻度を考えた上で、定額制のメリットが生かせるかどうかを判断しましょう。
利用定員が決まっている
小規模多機能型居宅介護には各サービスに定員が設けられているため、利用希望者が定員を超えてしまった場合はサービスを受けられません。
原則、利用定員は29名以下ですが、通いの場合は15名以下(一定の要件を満たすと18名以下)、宿泊は9名以下と、サービスによって異なります。
少人数ならではの手厚いケアを受けられるのは大きな魅力ですが、人気の事業所や施設の少ない地域では、その恩恵を受けられない可能性があります。
小規模多機能型居宅介護の費用負担を軽減する制度
小規模多機能型居宅介護の費用負担を軽減する制度は、次のとおりです。
- 高額介護サービス費支給制度
- 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
- 高額医療・高額介護合算制度
それぞれの制度の仕組みや、対象者について分かりやすく解説します。
高額介護サービス費支給制度
高額介護サービス費支給制度とは、1カ月の利用者負担合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合に、超過分が介護保険から支給される制度です。
設定区分と負担上限額は以下のとおりです。
| 対象者 | 負担の上限額(月額) |
| 生活保護を受給されている方等 | 15,000円(世帯) |
| 世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 前年の公的年金等収入金額 +そのほかの合計所得金額の合計が80.9万円以下の方等 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
(年収約770万円)未満
|
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在宅サービスの利用限度額を超えた自費負担額は介護保険の適用外となり、高額介護サービス費支給制度の対象とはなりません。
出典:厚生労働省
「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
低所得で生計が困難な方について、介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人が、利用者負担を軽減することにより、介護保険サービスの利用促進を図ることを目的とした制度です。
市町村民税非課税の方で以下の条件をすべて満たし、申請に基づき市町村から認定された方が対象となります。
- 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が一人増えるごとに50万円を加算した額以下
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が一人増えるごとに100万円を加算した額以下
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
- 負担能力のある親族等に扶養されていない
- 介護保険料を滞納していない
軽減対象者として認定されると、自治体から軽減確認証が交付されます。
出典:厚生労働省「社会福祉法人による利用者負担軽減制度について」
高額医療・高額介護合算制度
高額医療・高額介護合算制度とは、医療保険各制度の世帯に介護保険の受給者がいる場合、医療保険と介護保険の自己負担を合算した額が、新たに設定する自己負担限度額を超えた際に支給される制度です。
決められた限度額(年額)を500円以上超えた場合に、医療保険者に申請すると超えた分が支給されます。
なお、対象世帯や算定基準額など、詳しくは厚生労働省のサイトをご確認ください。
出典:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について」
小規模多機能型居宅介護の事業所を選ぶときのポイント
小規模多機能型居宅介護の事業所を選ぶときのポイントは、次のとおりです。
- スタッフの対応がよい
- 実績がある
- 緊急時の対応がしっかりしている
- サービスの質向上への取り組みがある
失敗しない事業所選びのポイントを、詳しく解説します。
スタッフの対応がよい
まずは、現場で働いている介護スタッフの表情が明るく、利用者一人ひとりに対して丁寧かつ尊重した対応ができているかを自身の目で確認してみましょう。
また、ケアプランの作成を依頼するケアマネジャーとの相性も重要です。
人柄や話しやすさはもちろん、こちらの質問に対して的確に答えられる知識の豊富さがあるかどうかも、信頼して任せるための大切な判断基準となります。
スタッフの雰囲気や対応の質は、パンフレットなどの書類だけでは判断しにくい部分です。
可能であれば体験利用を活用し、実際の介助の様子やスタッフと利用者との相性を事前にチェックしておくことをおすすめします。
実績がある
長く営業を続けている事業所は、それだけ地域住民や医療機関からの信頼度が高く、安定したサービスを提供している目安になります。
長年にわたって健全な経営を維持できているということは、多くの利用者から選ばれ、満足されている証拠といえるでしょう。
まずは事業所のホームページだけでなく、インターネット上の口コミやSNSでの評判などを幅広く収集し、実績について総合的に判断するようにしましょう。
新しく開設されたばかりの事業所が悪いわけではありませんが、実績が少ない場合は地域の特性を十分に把握できていなかったり、近隣の病院との連携体制がまだ整っていなかったりする可能性も否定できません。
将来にわたって長く、そして安定したサポートを安心して受け続けるためには、その地域で十分な実績を持った事業所を選ぶのも選択肢の一つです。
緊急時の対応がしっかりしている
万が一のケガや急な発熱などに備えて、対応ルールがきちんと決まっているかを確認しておきましょう。
夜間や休日でもすぐに連絡がつく体制か、提携している病院との連携がスムーズかなど、具体的な説明をしっかりしてくれる事業所なら安心です。
また、現場のスタッフだけでなく、看護師との連絡体制や医療面のサポートがどれくらい充実しているかも、事前に確認しておきたい項目に挙げられます。
緊急時の連絡網や、トラブルが起きたときの動き方が一目で分かるようになっているかを確認しておくと、いざという時の不安を減らせるでしょう。
サービスの質向上への取り組みがある
よりよいケアを受けるために、事業所内で研修や勉強会が定期的に行われているかも大切なポイントです。
新しい介護の知識を学んでいたり、過去の事例を振り返って改善に生かしていたりする事業所は、それだけ利用者のことを真剣に考えているといえます。
職員の研修制度や定期的な勉強会の開催など、独自の取り組みも確認しておきましょう。
小規模多機能型居宅介護を利用する方法
小規模多機能型居宅介護を利用する方法は、担当ケアマネジャーの有無によって変わります。
利用開始までの手順と合わせて、確認しましょう。
担当ケアマネジャーがいる場合
すでにほかの介護サービスを使っているなら、今のケアマネジャーに「小規模多機能型居宅介護を使いたい」と相談してみましょう。
その後、実際に事業所のスタッフと会って面談を行い、内容に納得できれば契約を結ぶ流れです。
なお、このサービスを使い始めると、ケアマネジャーが事業所専属の人に交代します。
これまでお世話になった担当者から変わることに不安を感じるかもしれませんが、新しい担当者が管理してくれるので、より生活に密着したサポートが受けられるでしょう。
担当ケアマネジャーがいない場合
担当のケアマネジャーがいないときは、利用者本人や家族が近所の事業所へ問い合わせましょう。
もし、どこに事業所があるか分からない場合は、役所や地域包括支援センターに相談してください。
初めての介護サービス選びは分からないことも多いかもしれませんが、専門の相談員が手続きの進め方を丁寧に教えてくれます。
まずは今の生活で困っていることや、どのような支えが欲しいかを話すところから始めてみましょう。
利用開始までの手順
小規模多機能型居宅介護の利用開始までの手順は、次のとおりです。
- 利用条件を満たしているかを確認する
- 担当ケアマネジャーまたは包括支援センターに相談する
- 施設の見学・面談を行う
- 事業者と契約する
- 新しいケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
- 介護サービスの利用開始
利用条件は、要支援1以上または要介護1以上の認定を受けていることと、サービス事業所と同一の自治体に住民票を置いていることの2つです。
事業所を見学するときは施設の雰囲気やスタッフの様子、サービスの内容などを確認し、合わないと思ったら別の事業所に変更することも大切です。
新しいケアマネジャーによるケアプランの作成が完了すれば、小規模多機能型居宅介護のサービス利用を開始できます。
小規模多機能型居宅介護に関するよくある質問
最後に、小規模多機能型居宅介護に関するよくある質問に回答します。
理解を深めるためにもチェックしておきましょう。
デイサービスとの違いは?
デイサービスはあらかじめ決まった時間に通ってケアを受けますが、小規模多機能型居宅介護は本人の状況に合わせて利用時間を柔軟に変えられます。
短時間の利用や急な宿泊にも対応しており、一人ひとりの生活リズムに合わせやすい点が、デイサービスとの大きな違いです。
グループホームとの違いは?
グループホームは、認知症と診断された要支援2以上の方が共同生活を送る施設です。
対して小規模多機能型居宅介護は、あくまでも自宅で暮らし続けることを目的としています。
宿泊サービスはありますが、施設に移り住むわけではありません。
住み慣れた家で自分らしく過ごすためのサポートを行う点がグループホームとの役割の違いです。
ショートステイとの違いは?
ショートステイは、前もって予約した日程に合わせて短期間宿泊するサービスです。
小規模多機能型居宅介護の宿泊は、デイサービスを利用した後にそのまま泊まったり、空きがあれば当日急にお泊まりをお願いできたりと融通が利きます。
また、ショートステイには30日を超えて利用できないとの決まりがありますが、小規模多機能型居宅介護はそうした制限が少なく、自分の生活に合わせた調整がしやすいのも特徴です。
どのような方に向いている?
小規模多機能型居宅介護は、その時々の状況に合わせてサポート内容を柔軟に変えられるため、次のような方に向いています。
- 体調の変化が大きい方
- 柔軟にサービスを利用したい方
- 環境の変化が苦手な方
- 介護者の負担を減らしたい方
一方で、サービスの利用回数が極端に少ない方の場合は、定額制のため料金が割高に感じられるかもしれません。
また、事業所専属のケアマネジャーに交代する必要があるので、今の担当者を変えたくない方は慎重に判断しましょう。
まとめ
小規模多機能型居宅介護は、通所・訪問・宿泊の3つを一つの事業所で提供するサービスです。
住み慣れた地域で、顔なじみのスタッフに見守られながら生活を続けられる点が魅力です。
本人の体調や家族の状況に合わせてサービスを柔軟に組み合わせられる一方、併用できない外部サービスがあるなどの注意点も存在します。
メリット・デメリットの双方を正しく理解し、ケアマネジャーとも相談しながら検討しましょう。





