月8万円の処遇改善加算、方針が定まる

以前より、10年以上勤務している介護福祉士に対して月8万円の処遇改善が行われる、という話題を何度か取り上げてきました。
10年以上勤務の介護福祉士に、月8万円の処遇改善??
10年以上勤続の介護士に対する月8万円の処遇改善、議論が本格化
- 同じ職場で10年働いていないといけないの?
- どうやって処遇改善のお金を受け取るの?
- そもそも本当にお金は足りるの?
といった疑問がいろいろと話題となりましたが、大枠での方針が何となく見えてきたようです。
こちらの記事に詳細がありました。
来年10月の賃上げ、“業界10年”の介護福祉士も 事業者が判断可能 厚労省方針(Joint 介護)
処遇改善の具体的な方法
こちら、元々噂されていた通り、結局のところ個人で申請したりするものではなくて、事業所単位で申請を行うこれまでの処遇改善加算の一加算要件として扱われることになりそうです。
これまでも処遇改善加算がしっかりとスタッフに行きわたっているのかどうか、といった議論はなされてきました。この記事を読まれた方の中には、自分はもらっていない!と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちなみに個々人の給与明細に明記されずとも、申請書類上少なくとも、処遇改善加算分が人件費として全体的に転嫁されていることは間違いありません。
ただ、これはあくまで事業所単位の話であって、その配分は事業所に任されてきました。
もちろん、多くの方が疑っているような、福祉法人の理事長の報酬に化けてしまったりすることはありえませんが、リーダー職の方や能力のある高評価の方に多めに配分されたり、といったことは事業所の裁量で行われているようです。
今回の加算については、この加算された金額の配分方法に、一定の縛りをかける方向性で考えているようです。
同じ職場で10年働かないともらえない?
これもかなり議論を呼んでいましたよね。
今回の加算については、上記のように事業所に配分した後で事業所内の加算配分に縛りをかける方向とのことなのですが、要は、配分されたお金を事業所側でベテラン中心に配分せよ、という方針になるようです。
そのベテランの定義として、勤続10年以上の介護福祉士、“業界10年”の介護福祉士、介護福祉士の資格はないが有能なベテラン、という方針が定められたとのこと。
まだ、ベテラン「中心」に配分すべし、あるいは「介護福祉士の資格はないが有能なベテラン」あたりの定義がだいぶ緩いのですが、むしろこのあたりは事業所の裁量にある程度任せ、柔軟に運用させる方針のようです。
以前の記事にも書きましたが、厳密に線を引くと、その当落線上の人たちの間で阿鼻叫喚の争いが起きることは必定です。ですので、国の立場からしても、このような運用をせざるを得ない、というのが正直なところなのではないでしょうか。
予算規模としては1000億と言われていたので、金額から計算すると10万人程度が対象、と思っていましたが、処遇改善方式で行くならば、介護保険分と自己負担分が1000億円分上乗せされるため、対象は20万人、となります。
介護福祉士はざっくり100万人くらいなので、5人に1人が対象、ということになるため、これは同一の職場じゃなくても大丈夫な計算では?と思っていたのですが、どうやらその通りだったようです。
財源は足りるの?
予算規模としては1000億と言われていたので、金額から計算すると10万人程度が対象、と思っていましたが、処遇改善方式で行くならば、介護保険分と自己負担分が1000億円分上乗せされるため、対象は20万人、となります。
介護福祉士はざっくり100万人くらいなので、5人に1人が対象、ということになります。介護福祉士を持っていないベテラン、がどれくらいの規模と予想しているのかはわかりませんが、概ね無理のない予算規模、と言えるのではないでしょうか?
終わりに
最初は荒唐無稽と思われたこの制度ですが、ようやく現実味を帯びてきたように思います。
配分方法には制限があるとはいえかなり事業所側に対しては自由度がある反面、おそらく事業所側の事務作業などはかなり煩雑になることが予想されます。
そもそも、加算に加算を重ねて継ぎ足してきた今の制度に異を唱える声もあります。基本報酬に組み込むべき、という意見も多く聞かれます。
しかし今回、さらに加算で対応、となり書類作業が煩雑になった場合、事務作業の負担から加算を取らない、あるいは取れない事業所も出てくる可能性があります。そういった事業所から人が去ることで、今後はより淘汰が進む可能性もありますね。
いずれにせよ、最終的に施行されるまで目の離せない制度です。