【薬の知識】認知症に関わる薬 Vol.3 – 中核症状に使われるお薬③ イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ

認知症に関わるお薬シリーズも第3弾になりました。

①アリセプト(一般名; ドネペジル)

②レミニール(一般名; ガランタミン)

③イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ(一般名; リバスチグミン)

④メマリー(一般名; メマンチン)

これら中核症状に効果があるお薬のうち、今回は唯一の貼り薬でもある、イクセロンパッチ・リバスタッチパッチについてご紹介します。

概要

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、リバスチグミンという成分のパッチ剤となります。
なぜ二つの名前があるかというと、前者がノバルティス、後者が小野製薬の製品となっているためです。

薬剤については、2社で共同展開をすることがよくあります。
一番よく見かけるやり方は、1つのブランドを2社で売ることです。例えば以前ご紹介したレミニールは、武田とヤンセンの共同販売でした。
他にも、開発会社が販売会社1社にすべて任せてしまい、売り上げの一部をシェアする形で展開したり、その組み方は多彩です。

中には、同じ薬剤を2ブランドに分けてそれぞれの会社が販売を手掛けるケースもあります。例えばうつ病の薬に、フルボキサミンという一般名を持つ薬剤があるのですが、ルボックスとデプロメールという2つの名前で2つの異なる会社からそれぞれ販売されています。
今回もまさにそのケースに当たります。

アリセプトやレミニールと同様、コリンエステラーゼ阻害剤という種類の薬剤のひとつで、アセチルコリンの分解を防いでアセチルコリン濃度を高めます。

元々、リバスチグミンという成分は1997年にスイスでノバルティスが開発し、承認もされていたのですが、副作用の吐き気が強い、という特徴から広く使われることはありませんでした・・・

しかし、リバスチグミンは比較的簡単な構造の化合物で、低分子だったため、肌から吸収することが可能であるところに目をつけて、貼り薬として再度開発に取り組みました。
その後2007年にアメリカで承認を受け、世界に広く広まった後、日本でもノバルティスと小野製薬が共同で臨床試験に取り組み、2011年7月に発売、となりました。

この薬は、剤型以外にも他のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤2つとは違う優れた特徴を持っています。
それは、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用を持つことです。

アルツハイマーがある程度進行してくると、神経細胞が抜け落ちていき、代わりにそこにグリア細胞というものが増えてきます。グリア細胞は直接神経伝達に関わらず、役割が未だに議論されている神経細胞の周辺細胞なのですが、そのグリア細胞が、ブチリルコリンエステラーゼという酵素を活性化します。このブチリルコリンエステラーゼも実はアセチルコリンを分解する作用を持っているのです。

これを阻害することで、アセチルコリン濃度をより高める方向に作用します。

剤型と服用方法

剤型は、肩こりのロイヒつぼ膏(ご存知ですかね??)のような丸いパッチで、種類は、4.5mg、9mg、13.5mg、18mgの4つのタイプ。容量が上がるとパッチの大きさが大きくなっていきます。

これを、最初は4.5mgのものを使用し、24時間ごとに貼り変えていきます。4週ごとに一つずつ容量を上げ、12週目から最大容量で使っていくことになります。

貼る場所は腕でも胸でもよいですが、自分で剥がしにくく、皮膚も強いので背中が推奨されています。

薬の効果

当然、他の薬剤同様、進行しないうちに使い始めるのが理想的ではありますが、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用があることによって、病状が進行しグリア細胞が増えた時期であってもしっかり作用してくれるのが特徴です。また周辺症状に対して、気分を穏やかにさせる作用があり、興奮作用が弱いのも特徴です。

そして、パッチであることから

  • 嚥下が困難でも容易に服用可能
  • 吸収が穏やかなので消化器症状が少ない
  • 万が一副作用が出ても、剥がせばすぐに薬の吸収が止められるし、服用のタイミングも自由
  • パッチに貼った日を書いておくことで簡単に服薬管理ができる

といったメリットもあげられます。

機序は基本的に同じため、アリセプト・レミニールと併用はできませんが、これらが効果を発揮しなかった、あるいは副作用がきつい、といった問題が発生した際の次の1手として、有効な手段と言えるでしょう。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。
ちなみに薬剤師の資格を持っていますがペーパーです。