menu

【薬の知識】認知症に関わる薬 Vol.2 – 中核症状に使われるお薬② レミニール

【薬の知識】認知症に関わる薬 Vol.2 – 中核症状に使われるお薬② レミニール

第一回に続きまして、しばらく介護に役立つ薬の知識シリーズとして、認知症に関わるお薬を紹介していきたいと思います。
前回ご紹介させていただきました通り、認知症の中核症状に対応する薬剤は、日本では現在4種類あります。

①アリセプト(一般名; ドネペジル)

②レミニール(一般名; ガランタミン)

③イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ(一般名; リバスチグミン)

④メマリー(一般名; メマンチン)

今回はそのうち、レミニールという薬剤についてご紹介させていただきます。

概要

レミニールは、アリセプトの初登場から遅れること12年、2011年に発売された薬剤です。
かなり長期に渡って、日本ではアリセプト1剤しかなかったため、満を持しての登場となりました。
一般名は、ガランタミン、といいます。

とはいえ、実はスウェーデンで2000年に発売されてから多くの国で使われてきたいわゆるドラッグラグの大きかった薬剤ですので、既に多くの実績を持った薬剤です。
ヤンセンファーマスーティカN.V.社とシナプテック社とのライセンス契約の もと、ジョンソン・エンド・ジョンソン・ファーマシューティカル・リサーチ・アンド・デベロプメントとシャイア社との間で共同開発された薬剤(長い説明ですね 笑)で、日本ではヤンセンファーマと武田の共同販売という形で販売されています。

薬の作用としてはアリセプトと同様、コリンエステラーゼ阻害剤、という種類の薬剤で、アセチルコリンの分解を防いでアセチルコリン濃度を高める、という機序を持っています。

そしてレミニールの場合にはそれだけでなく、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する増強作用(APL作用)も持っています。

この話はちょっと複雑で、単にアセチルコリンの伝わる力を強める、というものではありません。

この受容体は神経伝達物質を受け取る側の細胞ではなく、放出する側にある受容体で、この受容体が活性化されるとスイッチが入り、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、GABA、グルタミン酸といったアセチルコリン以外の様々な神経伝達物質の放出を促進してくれるのです。

その結果、快、気分改善、意欲増進、記憶や学習の促進など様々な効果がみられ、中核症状だけでなく周辺症状にも効果を示すことがわかっています。

剤型と服用方法

剤型も比較的豊富で、いわゆる普通の錠剤に加え、OD錠(口内崩壊錠)、内服液が用意されているため、嚥下が困難な方でも服用できる薬剤です。

通常は1回2回4mg(1日8mg)から開始して、4週間後に倍量に増量します。なお、症状に応じて3倍量まで増量できますが、増量する場合は変更前の用量で4週間以上投与した後に増量すること、となっています。

アリセプトと同じような増量のしかたですが、一番のポイントは、1日2回の服用となっていることです。

確かにレミニールの方がアリセプトよりも効果としては優れていそうですが、服薬管理の面を考えると1日1回服用のアリセプトの方が優れているため、このあたりが薬剤選択のポイントとなってきそうです。

介護するうえでも、レミニールを飲んでいる方の場合、しっかりと服薬管理をしていかないといけません。

薬の効果

レミニールも、同じく根治治療薬ではなく、症状の進行を止める薬剤です。なので、早めからの服用が鍵となります。副作用もアリセプトとほぼ同様で、消化器症状やパーキンソン病用症状などがありますが、一方でALP作用によってGABAなどの放出も増えることから、興奮作用は少なめです。

また、高度のアルツハイマー病の場合、アリセプトしか適用がなくレミニールは適用外となっているので注意が必要です。アルツハイマーが進行してしまった場合には、薬剤変更を余儀なくされるのも薬剤選択のポイントのひとつと言えるでしょう。

ちなみによく勘違いされることですが、適用外、というのは臨床試験の結果がまだ出ていない、ということであって、必ずしも効かないというわけではありません。適用を広げるには、かなりの時間とコストをかけて臨床試験を行う必要があるので、やるのかどうかはあくまで製薬会社の経営判断による、ということになります。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。
ちなみに薬剤師の資格を持っていますがペーパーです。