【薬の知識】糖尿病に関わる薬 Vol.5- SU薬

糖尿病の薬シリーズも第5弾となりました。前回は、武田のアクトス(ピオグリタゾン)に代表されるチアゾリジン薬を紹介しました。
今回はSU薬を取り上げたいと思います。

SU薬とは?

正しくは、スルフォニル尿素薬、と呼ばれるこの薬ですが、図にあるように、インスリンの分泌を増やす働きがある薬剤です。
これまで紹介したビグアナイド薬(メトホルミンが主な薬剤)、チアゾリジン薬(アクトス)は、インスリンの効きを良くする薬剤だったのに対して、インスリンの分泌自体を増やす、というわけです。

元々は腸チフスの兵士に対して投与していたサルファ剤が引き起こす副作用の低血糖に注目して開発されたもので、抗菌作用を排除した薬剤が1950年代に開発され、第1世代のSU薬となりました。

その後、数十年後に第2世代、2000年代になり第3世代の薬剤が開発されています。

SU薬の特徴と代表的な薬剤

古い歴史ある薬剤であり、非常にコストパフォーマンスのよい薬剤であるため、ビグアナイド薬と同じく糖尿病治療薬の基本ともいえる存在です。

β細胞において、ブドウ糖⇒ピルビン酸⇒ATPとエネルギー産生が進むと、ATP濃度が高くなることでKチャネルガ閉じ、引き続いてCaチャネルが開きCaが流入します。これがトリガーとなりインスリンが分泌されるのですが、このKチャネルを強制的に閉じる働きをするのが、このSU薬です。それにより、強制的にインスリンの分泌を起こす、というわけです。

どちらかというと、肥満や運動不足といったファクターは、インスリンの感受性を弱める方向に働くことが多いので、むしろそういった問題がない患者(つまりはBMIが高くない痩せ型の患者で、生活習慣もうまくコントロールされているが血糖値が下がってくれない場合)などに向いていると言えます。

第1世代は、ラスチノン、ジメリン、アベマイド、デアメリンSといった薬剤、第2世代はオイグルコン/ダオニール、グリミクロン、第3世代はアマリール、という薬剤があります。

アマリールは、あまりインスリンの分泌促進作用は強くないにもかかわらず、血糖値の下げる効果は第1世代・第2世代以上であるため、インスリンの感受性増大の効果も併せ持つ可能性が示唆されています。

SU薬の注意点

直接インスリンの分泌を促すので低血糖を起こしやすい薬剤である、というのが一般的な評価です。特に腎機能や肝機能が落ちてくると低血糖のリスクは高まるため、高齢者では特に低血糖の注意が必要です。

通常の患者であれば、低血糖を過度に怖がることはなく、低血糖になっていることに自身で気づけるようにしておけば深刻な問題はありません。
ただ、高齢者で特に認知症の場合などには症状が乏しく、気づかないと転倒骨折や入浴事故に繋がる可能性があるため、介護者はこうした薬剤を飲んでいることが分かった場合には、注意が必要です。

低血糖を起こした場合にはすぐにブドウ糖を補う必要があるのですが、高齢者の場合には飴玉だと誤嚥の可能性があり、ブドウ糖だと嚥下が大変な場合もあるため、グルコレスキュー®のようなゼリー状のブドウ糖で嚥下しやすいものを携帯しておくことがおすすめです。

副作用として虚血性心疾患を上げる医師もいますが、第1世代に関する論文で言及されたものであり、第2世代、第3世代では特に心配はいらなそうです。

また副作用と別に注意すべきこととして、無効があります。最初から薬剤が効かない1次無効と、途中から効かなくなる2次無効というものがあります。
1次無効は、おそらくインスリンは分泌されているが感受性が下がっているようなケース(肥満、生活習慣に問題あり、など)で発生し、2次無効については、血糖値がコントロールされていることで安心し生活が乱れてしまう、といった原因が考えられます。
特に、SU薬はインスリンの分泌を促進するため、血中の糖分を肝臓や筋肉に溜めこむ方向に作用するので、肥満を引き起こすケースがあり、インスリンの感受性が弱まった結果2次無効を起こす、といったメカニズムが考えられています。

無効例の場合には、早めに併用薬なども駆使し、高血糖状態が続いてしまわないよう対処が必要です。高血糖状態が続くと、β細胞の働きが弱り、さらにインスリンの分泌能が下がっていってしまうため、さらに血糖コントロールが難しくなってしまいます。β細胞の働きを何とか温存していくことが、その先の治療を考えることが重要です。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。
ちなみに薬剤師の資格を持っていますがペーパーです 笑